はじめに
我が国の企業数のなんと99.7%を占める中小企業。
日本の経済の屋台骨をささえていると言っても過言ではないでしょう。
そんな中小企業を支援するために政府は様々な制度を用意しております。
我々、よろず支援拠点もそんな中小企業や小規模事業者のための支援機関の一つです。
支援制度の中でも特に人気があるのが補助金や助成金です。事業資金の調達方法として定着しております。
そんな補助金について、この項では簡単に解説いたします。
補助金の概要
補助金とは国や地方自治体の政策目標に沿って、様々な分野で募集されております。事業者の取り組みをサポートすることを目的に必要資金の一部を給付するものです。それぞれの補助金には「目的」があり、どんな取り組みに対しても補助が出るわけではありません。近年では労働者の賃上げやSDGs、脱炭素、生産性向上といった分野に対する補助が手厚く、こういった取り組みに関しては補助を受けやすいと言えると言えます。
一方で補助金は融資などと異なり、返済の必要がないため非常にメリットが大きいですが、交付には審査があるため、申請すれば必ずもらえるものではありません。
また取り組みの全ての経費が対象になるわけではなく、受益者負担の考え方から補助割合や上限が決まっております。
(例:補助率3分の2、補助上限200万円など)
申請を行う際は条件をしっかり確認しましょう。
中小企業とは
中小企業や小規模事業者向けの補助金制度は数多くありますが、そもそも中小企業や小規模事業者の定義とはなんでしょうか。
補助金制度では主に対象として「中小企業」や「小規模事業者」といった文言が見受けられます。
下記の出典がわかりやすくなっております。業種によっても基準が変わりますが、資本金の要件もしくは従業員数の要件いずれかが基準を下回ると中小企業に分類されます。
(例:サービス業の場合、資本金5000万円以下もしくは従業員100名以下)
また中小企業の定義よりもさらに従業員が一定数以下の場合は小規模企業という分類になります。(例:商業・サービス業で5人以下等)
小規模企業者のみが対象の補助金等もあるため申請の際は要件に注意いたしましょう。
[中小企業・小規模企業者の定義] https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
出典:中小企業庁
補助金と助成金の違い
いずれも国や地方自治体からの支援に変わりはないのですが、「助成金」は一般的に厚生労働省の所管している支援制度を指すことが一般的です。主に労務や人事組織面に関するものが多く、こちらは所定の様式に従って申請を行うと原則給付されます。
一方で補助金は経済産業省の所管のものが多く、事業推進に活用が可能です。前述の通り審査があり、申請すればかならず給付されるものではありません。
ただし明確に区別されているわけではありません。助成金という名のものでも審査があり補助金の色あいが強いものもあります。
活用できそうな制度がある場合は制度内容をしっかり理解した上で活用するようにすると良いでしょう。
補助金の種類
ここで中小企業や小規模企業者(個人事業主)向けの補助金制度を見ていきましょう。
いずれも経済産業省管轄の補助金で補助金の種類によって用途が変わります。
◆小規模事業者持続化補助金
⼩規模事業者等の⽣産性向上と持続的発展を図ることを⽬的とし、持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓の取組を⽀援する最大200万円の補助金です。申請も簡素化されており取り組みやすい補助金となってます。
事業エリアによって申請チャネルが変わるため注意が必要です。
<公式WEBサイト> https://s23.jizokukahojokin.info
◆IT導入補助
業務効率化やDXの推進、セキュリティ対策に向けたITツールの導入費用を支援します。インボイス対応などの安価なITツールの導入にも活用可能で補助額は最大450万円です。
<公式WEBサイト> https://it-shien.smrj.go.jp
◆ものづくり補助金
新製品やサービスの開発、生産プロセスの省力化に必要な設備投資に活用できます。ものづくりという名前から製造業が対象と思われがちですが、サービス業も活用可能です。最大で3000万円の大型補助金です。
<公式WEBサイト> https://portal.monodukuri-hojo.jp
◆事業承継補助金
事業承継・M&A、グループ化後の経営⾰新(設備投資、販路開拓等)や、M&A時の専⾨家活⽤費⽤等を⽀援します。事業承継を検討されている事業者、また事業承継をしたばかりの事業者におすすめの最大800万円の補助金です。
<公式WEBサイト> https://jsh.go.jp/r5h
◆事業再構築補助金
事業者の思い切った事業再構築を支援する補助金です。激変する社会情勢に対応するための新規事業への取り組みに対して補助されます。現在、公募は行なっておりませんが、建物の新築が対象になるなど、補助額も大きい補助金です。
対象となる費用
申請する補助金によっても変わってきますが、主に事業への設備投資に対して補助されます。事業に必要な機械装置やシステム開発費、広告宣伝費、外注費などが主な対象経費です。
ただし上記に当てはまる経費でも対象外となる経費もあります。
一般車両やパソコン、タブレット端末など汎用性が高いと判断される経費、補助事業以外での使用される経費は当然に対象外となります。
申請する補助金によっても対象の経費や対象外の経費の基準は変わってくるため申請する前に必ず公募要領を確認しましょう。
申請手続きの流れ
補助金を申請するためのステップや必要な書類について説明します。
一般的な補助金の申請ステップは下記の通りとなります。
申請までに事業計画を策定し必要書類と併せて提出します。この事業計画の優劣で審査が行われるため事業計画書の作成にはしっかり時間をかけると良いでしょう。
また注意点として、補助金の入金は事業完了後となり一番最後です。申請から入金まで1年以上かかることも多く、補助があるからといって自己資金が不要になるわけではありません。メインバンクのつなぎ融資を活用するなどして資金繰りに関しても計画性を持って取り組むことが重要です。
補助金申請の流れ
補助金活用のメリットとデメリット
ここでは補助金のメリット・デメリットをご説明します。
メリット
- 補助金は原則返済が不要である
- 事業のリスクを軽減できる(初期投資を抑制できる)
補助金はその名の通り事業実施を補助するための国の資金です。融資と違い、返済の義務は原則ありません。そのため投資にかかる費用を抑えることができ、事業推進にあたり避けられないリスクを軽減をすることが可能です。
※補助金制度によっては収益納付という返還制度、申請要件未達の場合の返還義務などがある場合はありますので公募要領をよく確認しましょう。
デメリット
- 誰でももらえるわけではない
- 手続きが煩雑でスケジュール管理が難しい
- 資金繰り調整が必要である
返済不要という、大きなメリットのある補助金ですがデメリットもあります。④でも説明したように補助金を受けるためには審査があります。申請したからといって必ず補助を受けられるわけではありません。仮に採択を受けても補助金の給付は事業完了後となるためそれまではつなぎ融資などを活用して資金繰り調整が必要となります。
現在公募中の補助金
最後に現在公募中の補助金をご紹介します。
佐賀県の事業者限定の補助金で非常に活用がしやすい補助金となっております。
◆佐賀県中小企業生産性向上支援補助金
佐賀県で事業を行う個人事業主、中小企業が対象となる補助金です。
個人事業主は最大60万円、中小企業は最大200万円で補助率は3分の2となります。
DX化に係る取組、生産性向上に係る取組、新製品や新サービスの開発に係る取組が対象です。
機械装置や広告宣伝費、研修費なども対象となるためこれまでご紹介した国の補助金よりも使い勝手が良いものとなってます。
最後に
補助金制度や申請方法など少しでもご興味のある方はぜひ佐賀県よろず支援拠点までご相談ください。
主に中小企業診断士の資格を持ったコーディネーターがご案内させていただきます。