BCPってなに?災害やリスクに備えるためのBCP対策について手順を解説

【BCPとは何か?】
BCPという言葉を聞いたことがある経営者の方も多いのではないでしょうか。
BCPとはBusiness Continuity Planの略語で日本では「事業継続計画」と訳されます。
企業を取り巻く様々な経営リスクである自然災害やシステム障害・従業員の不祥事といった危機的なことが発生した場合でも、主要業務を継続できる方法を立案し、事業の継続を図るための計画のことです。
特に自然災害の多い日本では近年、事業経営においてその必要性が高まっており、国もその計画の策定について各種の政策などで後押しをしています。
今日は中小企業経営者のためのBCPについて解説していきます。

【なぜBCPが重要なのか?】
ではなぜ今、BCPが重要なのでしょうか。
前述したように近年、日本各地で自然災害が頻発しています。
今年の1月1日に能登半島で発生した地震に衝撃を受けた方も多いのではないのでしょうか。
自然災害は突発的に襲ってきます。
佐賀県内ではここ数年、豪雨被害が毎年のように頻発しており、被害も甚大です。
特に令和5年7月に発生した豪雨災害では佐賀県において復興費用○○円もの甚大な被害をもたらしました。

自然災害に限らず中小企業を取り巻くリスクにはさまざまなものがあります。
自然災害はリスクとしてイメージが付きやすいかもしれませんが、経営においてのリスクはそれだけはありません。他国での政変や戦争による経営環境の変化、取引先の倒産や従業員の不正など自然災害以外にも様々なリスクにさらされています。
こういったリスクの例としては昨今では新型コロナウィルスによる未曾有のパンデミック、ウクライナ戦争を発端する長期的な原材料の高騰などは記憶に新しいのではないでしょうか。

【BCP策定の役割】
このような中小企業を取り巻くリスクを考慮したうえで、BCPにはどのような役割が期待されるのでしょうか?



中小企業は一般的に経営基盤が脆弱で、突発的なトラブルにより廃業に追い込まれる可能性もあります。
このような緊急時に廃業や事業の縮小を余儀なくされないために、平常時からBCPを周到に準備しておき、緊急時に事業の継続・早期復旧を図ることが重要です。
上図のように中核事業を早期に復旧させるためにBCPが必要不可欠なのです。


BCPを策定している企業は、上記の図のように災害などが発生しても、被害の程度を最小限にとどめ、事業を継続させることが可能です。
中核事業の早期復旧が可能になることにより事業の縮小や廃業に陥る可能性も低く、いち早く操業度を通常に戻すことができるようになります。

【BCP策定のメリット】
ここではBCP策定におけるメリットをお伝えします。
緊急時に早期の復旧が可能になるだけでなくBCP策定することによるメリットは以下のようなものがあります。

✓取引先との契約維持・新たな顧客の開拓のための差別化ツール
✓金融機関の信頼感の向上
✓従業員(とその家族)の安心感・信頼感・帰属意識の向上
✓地域からの信頼感が高まる
✓CSR(企業の社会的責任)につながる
✓近視眼的経営から長期の経営戦略構築につながる
✓永続経営(ゴーイングコンサーン)の実現、円滑な事業承継にもつながる

有事に事前に備えるということから、対外的に企業として信頼感が高まるということは想像に固くありません。

【BCP策定の全体像】

【BCP策定の現状】
では実際にどれくらいの企業がBCPを策定しているのでしょうか?
東京商工会議所が2023年に行った調査によると、BCP策定率は35.0%と緩やかに増加(前回調査32.2%)。大企業は71.4%、中小企業は27.6%となっています。策定済企業の9割超が地震を想定。感染症や水害は約6割、あらゆる災害・リスク(オールハザード型)を想定している企業は12.8%に留まっています。
全体での策定率は上昇しているものの、中小企業の策定率は未だ低い状況です。

【BCP策定の手順】
それでは実際のBCP策定の手順を簡単に見てみましょう。
なお、こちらは中業企業BCP支援ガイドブック(https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/2018/180420BCPshiryo1.pdf)を元にした手順となります。

Step1:基本方針の立案(目的の明確化)
そもそもなぜBCPの策定が必要なのかを検討し基本方針を決めることから始まります。
BCP策定は手段であり目的ではありません。
なぜ自社でBCPの策定が必要なのか、また何のためのに会社が事業を行っているのかを見つめ直すことによりより適切な基本方針を策定することができます。

<基本方針の例>

  • 人命(従業員、顧客)の安全を守る
  • 自社の経営を維持する
  • 供給責任を果たし、顧客からの信用を守る
  • 従業員の雇用を守る
  • 地域経済の活力を守る

Step2:重要商品の検討(優先順位)
会社においては、様々な商品・サービスがありますが、災害等の発生時には、限りある人員や資機材の範囲内で、その会社の事業を継続させなければなりません。
そのために優先的に製造や販売する商品・サービス(以下“重要商品or中核事業”という)をあらかじめ取り決めておく必要があります。例えば、収益・売上が大きな商品であったり、その商品を届けないと社会や市場全体に大きな影響を及ぼしてしまう事業などが該当します

Step3:被害状況の確認(現状把握)
会社が影響を受ける災害には、洪水や、地震、新型インフルエンザ等、様々なものがあり、こうし
た災害により、工場が生産停止となったり、店舗が壊れて商品を販売できなくなったりする場合が
あります。
実際に緊急事態担った場合に、事業にどういった被害が出るのかをStep2で取り決めた重要商品を中心に想定します。
自然災害であれば地方自治体が公表するハザードマップなどを活用すると店舗や工場のおおよその被害を想定しやすいでしょう。

Step4:事前対策の実施(改善策策定)
緊急時においてどのような対応をするかを検討します。
検討する際はヒト・モノ・カネ・情報に分けて検討すると良いでしょう
ヒト:従業員の安否確認や顧客の避難方法など
モノ:機械設備の固定や故障した際の代替方法など
カネ:緊急時必要な現金の準備や調達方法の把握など
情報:重要なデータの保管やバックアップなど

Step5:緊急時の体制整備(責任の明確化)
計画を立案しても誰が何をやるのか決まっていなければ絵に描いた餅です。
緊急時の対応とその責任者を整理しておくことが必要です。
緊急時に誰が責任を持って対応するかや責任者不在や連絡が取れなくなるケースも考慮し代理責任者まで決めて置くとよいでしょう。

【中小企業のためのBCP】
上記の策定手順を見て、「少し自社にはハードルが高いかな?」と思われた経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
このような計画を0から作成するのはやはり少しハードルが高いと思います。
そこで中小企業庁では「事業継続力強化計画」という制度を設け、中小企業のBCP策定を後押ししています。
この「事業継続力強化計画」ですが、ここまで説明したBCPを踏襲しながらリソースの少ない中小企業でもあって様式に沿って作成することで比較的簡単に作成することが可能です。
作成した計画は経済産業省に認定を受けることによって、防災・減災設備への税制優遇や日本政策金融公庫からの低利融資など様々なメリットがあります。
もちろんよろず支援拠点での作成のサポートも行っていますのでご興味のある経営者の方は一度ご相談ください。
BCP策定の第一歩として「事業継続力強化計画」の策定を検討してみてはいかがでしょうか?

【BCPはじめの一歩 事業継続力強化計画をつくろう!】
https://kyoujinnka.smrj.go.jp/

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