経営理念はますます大切になってきている!

1.あなたの会社や事業に経営理念はありますか?

「経営理念」は何となく重要だとはわかるけど、  

①いざ自社で作っていくとなると何から手をつけていいやら・・・
②創業者が作った経営理念があるけど、時代に合っているか疑問?形骸化している・・・
③やたら、いろんな経営理念周りの用語が多く、解説もまちまちで、混乱気味・・・

という方も多く、わが社の経営理念には結局まだ手付かず状態、でも何とかしたいと思われてませんか?

2.なぜ経営理念はますます大事に?

例えば、皆さんが食品を買うときに、生鮮品なら産地とか生産者を、加工品なら裏ラベルの成分、添加物の有無を、、 口に入れるものだから本当に安全なものか?健康、体にいいものか? チェックして買われる方が増えてきていると思いませんか?                                                       以前は表パッケージで商品を選んでいたのを、今は裏面を見て買う時代になってきています。

この現象だけ見ても今日の「経営理念の必要性」を物語っているように感じます。

商品の見た目、表面だけではなく、商品の持つ背景や裏面にある生産者の様々な情報や考えを見て、場合によってはネットでHPをチェックし判断して購入しますよね。

年々増えているクラウドファンディングにしても、生産者の想いに共感して応援して購入したり、また同じような商品サービスでも、そのできるまでの過程、ストーリー性のあるものが選ばれたりなど、単なる「モノ」でなく、「商品サービスの提供者の背景や考え」がより濃く選択の判断基準に反映されてきています。

人手不足問題が深刻な今日ですが、就職の際、若者など特に社会的意義のある社会貢献度の高い企業を選ぶ傾向があると言われてます。

ネット社会なので、企業、商品サービス、生産者の情報を簡単に詳細を得られるという時代背景も大きいですね。         

モノがなかった時代には”モノ自体”に価値がありましたが、今日のようなモノが溢れかえっている時代には”モノによる満足感”より、”モノを通して、いかに自分の心を充足し満足感を得られるか”に重きが置かれてきています。

これは「衣食住足りて礼節を知る」「マズローの欲求5段階説」(生理的欲求、安全の欲求が満たされている今日、社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求が求められている。)など人間心理に基づいているとも言えます。                                       

また、われわれは様々な気候変動、環境問題、社会問題などに直面しており、持続可能な社会を構築していく必要性に迫られています。地球を取り巻く様々な環境の変化から、本能的に人は自らの命、子孫の命を守るために意識が持続可能な社会づくりをいかにしてつくっていくか?に向かっていっているのだと思います。

3.社会と会社

よりよい社会を目指して個人も企業も大きく意識が変わってきており、「自分だけ自社だけ儲かればいい」という考えは、どんどん衰退していって社会に受け入れられなくなってきています。

そもそも「社会」とは、「会社」とは何でしょう?

社会とは

複数の人びとが持続的に一つの共同空間に集まっている状態,またはその集まっている人びと自身,ないし彼らのあいだの結びつきを社会という。 (世界大百科事典より)

会社とは

同じ目的で物事を行う集団。(デジタル大辞泉より)

次にこの「社会と会社の関係」や「会社の目的」をマネジメントの父であるドラッカーは次のように捉えてます。

「社会と会社の関係」や「会社の目的」 (ドラッカー)

「社会」は「会社」にとって単なる環境ではない。 「会社」「社会」の機関であり、社会的な機能を果たしている。

●公益に責任を持つ 。

●自らの行動を倫理的基準に従わせる。

●公共の福祉や個人の自由を害する可能性があるときには自らの私益と権限に制約を加えるべきことを要求されている。

●最も有能で献身的な若者を受入れ、キャリアや生活の保障、経済的な報酬の他、ビジョンと使命 を与え、コミュニティと社会に対して意味ある貢献をしたい とする欲求を満足させなければならない。

●社会性、公共性を意識し、社会的責任を受け入れる必要がある。

会社の目的とは”顧客の創造”である。 

会社活動が「人の欲求」を「有効需要」に変えたとき、初めて「顧客」が生まれ「市場」が生まれる。会社が自ら生み出していると考えるものが重要ではない。顧客が「買っているもの」、「価値と考えるもの」が重要である。社会が会社に「資源」を託しているのは、その顧客に「財」と「サービス」を供給させるためである。

やはりドラッカーの洞察力は素晴らしいですね。このように考えていくと

会社は株主のもの、経営者のもの、経営を取り巻くステークホルダーのもの、いろんな考え方がありますけど、上場企業に限らず、中小企業、個人事業も「社会のものである」と考えられるのではないでしょうか?

事業はお客様が商品サービスを購入することによって成り立ちます。その商品サービスを欲しているお客様に対して、商品サービスを提供することによってお客様に満足してもらい、対価としてお金をいただき売上が立っていくわけです。

「売上が増える」ということは「お客様の支持が増えている」こと、また「売上が大きい」ということは「より多くのお客様に支持され役に立っている、貢献している」ということになります。

大企業=売上が大きく、より多くのお客様に影響を与え、社会的にも影響力が大きい。大企業は本業で社会的に貢献している以外に資本力があるので自社PRの側面もありますが、社会的責任から利益を追求しない社会に役立つ活動等もよく行います。

一方、中小企業も「地域社会にお世話になっている」「地域あっての自社である」という考えから、地域活動を積極的に支援している中小企業も数多く存在します。

会社というと「利益追求が目的」と考えがちですが、あくまでも目的は「社会へ役立つ事業を行い、この役立つ事業を継続し、また雇用を維持拡大していくことであり、そのために利益を出していかなければならない」という考えの方がしっくりいくように思えます。社会に役立つ事業とか社会貢献とかいうと、さぞかし立派な事業をと、、想像しがちですが何も特別なものでなく、普通一般に営まれているあらゆる事業が大なり小なり社会に役立ち、貢献していると私は感じています。なので経営理念には、「社会に対して、自社は、自分の事業は、どのような価値を提供しているのか?」という視点は欠かせないものと思います。

4.経営理念とは

社会の中には、多くのモノカネ情報という資源があふれてます。その中で「会社」「同じ目的で集まり、顧客を創造し社会に貢献する機関」です。この同じ目的というのが「経営理念」であり、”会社の存在意義”や”何を成していくのか?”を指しています。

経営理念の要素として主に「ミッション」「ビジョン」「バリュー」があります。                       この類似語として、企業理念、フィロソフィー、行動指針、クレド、社是、パーパスなど、いろんな用語が増えてきています。これらの言葉の定義・解釈は人によって微妙に異なっていたりしますので、どの用語を使えばよいのか?どう解釈すればよいのか?入り口の部分で迷われる方も多いのではないでしょうか?

しかしながら、どの言葉の定義が正しいかは、あまり問題ではなく、要は”自分がしっくりくる言葉”を用いて、”社内や関係者にしっかり伝え、伝わること”が重要です。まず「自社が顧客を創造し、社会に貢献するために必要なことは何なのか?」深く考え明確にしていくことが大切だと思います。

その際に先に挙げた「ミッション」「ビジョン」「バリュー」3つのフレームから整理して考えていくと、わかりやすく経営理念を策定しやすくなるのではないかと思います。

「ミッション」 われわれは何のために存在しているのか?

「ビジョン」  われわれが目指す未来像 (〇年後にどんな状態になっていたいか、ビジュアル的にイメージできる姿)

「バリュー」 われわれが大切にしたい価値観や行動指針

「ミッション」を実現するために、将来のある時点での「ビジョン」を描き(例えば10年後にありたい姿をビジュアルに描く)、大切にしている「バリュー」(価値観)を守りながら企業活動を行っていくことになります。

5.経営理念の果たす役割
このようにして策定された経営理念の果たす役割には次のようなものがあります。

①「経営の指針」となり、これをベースに経営戦略を策定し、経営活動を行っていく。

②経営理念は、いわば憲法のようなものであり、「意思決定の基準」となる。

③「従業員の行動指針」になり、”モチベーション向上”につながる。

④「自社に合った従業員の採用」につながる。

⑤「顧客との信頼関係」を構築する。

⑥「社会貢献」につながる。

経営理念は企業経営の根幹をなす考え方ではありますが、決して永遠不変なものではありません。

変化の激しい時代ですので、時代に合わせた経営理念の改変、策定が必要となっています。

以前は「創業社長の大事にしていた想い」を基に作られた経営理念が多かったと思いますが、時代が変わり、経営の代替わりが起き、社会の価値観も変わってきている今日では、自ずと「経営者のみでなく、社員やステークホルダーを巻き込んで作っていくこと」が必要になってきています。

今回、経営理念の大切さを中心としたテーマでしたが、次回は経営理念の「具体的な作り方」や「浸透の仕方」についてご紹介していきます。

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